うさぎの病気1
(目・鼻・足・皮膚・首)
1.うさぎの目の病気
うさぎの目の病気で来院が多いものは、流涙症です。
流涙症とは涙が目の外にあふれてしまう症状です。
涙の量が多くなる疾患の角膜炎、結膜炎でも起こりますが、涙の排泄管の鼻涙管の閉塞によって起こることが多いです。
鼻涙管は鼻につづく管で、正常な場合はその管を通って涙は鼻に流れます。
流涙症を起こしている鼻涙管の閉塞の原因は、管に炎症産物や細菌がつまることや臼歯、切歯の歯根が管の通過に影響していることが多いです。
治療は点眼治療、鼻涙管洗浄などをおこなっていきます。
病態によって治療はかわってきますが、再発が多い疾患です。
涙による涙やけで皮膚炎になる子もいます。
その他としては、ぶつけたり、こすったりしておこりやすい角膜炎、
刺激物、感染症でおこる結膜炎、レンズ(水晶体)の病気として白内障も多くあります。
点眼薬をつかった治療が多いですが、全身症状からくるものもあるので、その時々で検査、治療を選択していきます。
2.うさぎの鼻の病気
鼻の病気では症状としてはくしゃみ、鼻水です。
スナッフルとも呼ばれている症状です。
炎症がみられる時は炎症産物のため鼻水が白かったり、黄色かったりします。
感染性の鼻炎は細菌のパスツレラや緑膿菌などいろいろあります。
抗生剤の点眼鼻薬や抗生剤の経口薬で治療していきます。
原因菌をはっきりするために細菌培養検査をすることもあります。
何かに反応するくしゃみ、鼻水もあります。
通常は透明な鼻水です。異物を排除しようとする防御反応です。
新しく変えたもの(トイレ砂、牧草、フードなど)がないかを確認して、原因と考えられるものを除外していきます。
トイレ掃除を怠ると尿、糞からのアンモニアなどの刺激物により症状が出る子もいます。
清潔な生活環境を心がけましょう。
鼻炎は臼歯疾患から炎症が波及して起こることも多いです。
その場合は難治性になることが多いです。
うさぎは主に鼻呼吸をします。
鼻炎が強いと呼吸しづらくつらそうです。
また、くしゃみは音として聞こえてくるので飼い主様が気になる症状の一つです。
慢性化すると症状が長く続くことになります。
早めの診察治療をお願いいたします。
3.うさぎの足の病気
うさぎの足の病気で多いものは飛節びらん(ソアホック)が多く出ます。
うさぎの後肢は肉球がないため足底に毛が覆われているだけの部分が着地します。
その毛の覆われが薄くなると皮膚に直接体重がかかるので負担になります。
それが続くと炎症を起こし、皮膚炎を起こしてしまいます。
少なからずそのような構造のため毛の下の皮膚は薄くなっているのですが、
炎症が起きてしまうと治療をはじめます。
敷材を足の負担のないようにしたり、軟膏を塗布したりしていきます。
絶えず地面に着く所ですので治るまでに時間がかかり、慢性化することもあります。
びらんまでいくとなかなか治るのにたいへんです。
早めの治療が大切です。
肥満は足に負担をかけます。
飛節びらんも起こしやすくなります。
体重管理に気をつけていきましょう。
4.うさぎの皮膚の病気
うさぎの皮膚の病気で多いものは寄生虫だとツメダニによる皮膚炎です。
首の後ろの背中にフケが多く出るのが特徴で、かゆみのため落ち着きがなく、首を振ったりします。ツメダニを倒す薬剤を滴下して治していきます。
湿性の皮膚炎は気温、湿度の高い季節に多発します。
おしりまわりや流涙症の目もとに細菌感染をおこし発症します。
抗生剤等で治していきます。
カビ(真菌)症が鼻周りに多発します。
抗真菌剤で治していきますが、根気よく治療をつづけないと再発します。
トレポネーマ(うさぎ梅毒)の特徴的な皮膚炎が鼻や陰部にみられることがあります。
抗生剤で治療していきますが再発も多いです。
アイランドスキンと呼ばれる脱毛部が現れることがあります。 生理的なものとみられており、治療せずに経過を見ます。
毛のグルーミングをおこない、皮膚や被毛の清潔さを保つことは大切です。
グルーミングを怠ると、特に長毛のうさぎは絡まってフェルト状態になってしまいます。
おしりまわりにからまると糞ができなくなったりして具合が悪くなることもあります。
その場合、その毛の下は皮膚炎を起こしています。
自宅でラビットブラシやグルーミングスプレーを使用して毛の手入れをしましょう。
換毛期など毛抜けの多い時期、
毛玉になってしまった被毛などは専門家のグルーミングをお勧めします。
うさぎの鼻の真菌症
5.うさぎの首が傾く(斜頸)病気
うさぎの首が突然傾いた(捻転斜頸)、眼が揺れている(眼振)などの症状で来院される飼い主様は多いです。
昨日まで元気で、今日突然症状が出てしまって、飼い主様も何が起こったのかわからなく、
心配されて来られます。
うさぎ自身は突然のことで混乱している子が多く、多くが食事や飲水ができなくなっています。
このような症状は重力を感知し、それを司る前庭が影響していることが多いです。
ヒトが回転運動した後、目がぐるぐるするのと同じような感じです。
原因は耳の内耳の前庭器官に影響がおよぶ細菌感染や、脳の前庭神経に炎症をおこすエンセファリトゾーン(原虫)や、特発性(原因不明)のものなどいろいろです。
レントゲン検査、血液検査などをおこない、全体を把握した後、治療は抗エンセファリトゾーン薬(フェンベンダゾール)、ステロイド薬、抗生剤などを使っていきます。
病気の治療も大切ですが、症状が落ち着くまでは食事を与えたり介護が大切になってきます。
生活場所も怪我のしないよう整える必要があります。
過度のローリングの捻転斜頸のため目の角膜を傷つけてしまうこともあります。
1週間ほどで改善する子もいれば、数か月症状が落ち着かない子、亡くなってしまう子もいます。後遺症が残ってしまううさぎもいます。
うさぎの首が突然傾いた(捻転斜頸)、眼が揺れている(眼振)などの症状が出た場合は
早めの診察をお願いいたします。