うさぎの飼い方

1.基本的なうさぎの飼い方

うさぎを飼うためにはラビットケージを用意したほうがいいでしょう。

昔は庭にうさぎ小屋を作って、庭に放して飼っていた方もおられたと思います。
私も幼少のころに庭で飼っていました。
雪うさぎ、パンダうさぎなんかの名前で今のうさぎたちにくらべて大柄でした。
また、小学校のうさぎもそのような大柄のうさぎでした。

現在、うさぎ専門店などで売られているうさぎは小型のネザーランド系やロップイヤーなどで、昔飼われていたうさぎとは少し違ってきています。

このようなうさぎたちは室内で飼うことが基本になっています。

そのときにラビットケージが必要になります。
部屋に放し飼いをしているとじゅうたんや壁紙やコンセントなどを
かじってしまうからです。

ケージの大きさは幅が60cmから80cmものが多く使用されています。
うさぎは飛節というところまで地面に接するため、それに配慮したケージ底の構造になっています。

ラビットケージに備えるものとしては、
ウォーターボトル、ラビットフード入れ、牧草フィーダー、トイレが常設で、
オプションとしてかじり木やループのような遊びを備えることもあります。

ウォーターボトルは水飲み用具で、毎日新しい水を交換します。
先がステンレスのボールになっているので時々水が出るかチェックが大切です。

トイレには尿や糞をするのですが、それ以外のところでも排泄します。
トイレのしつけについて聞かれることがあるのですが、ある程度トイレで排泄をしてくれたらいいくらいに思ったほうがいいでしょう。

時折室内に出して遊ばせるのもいいかもしれません。
すぐに何かをかじってしまうので気をつけて離しましょう。

夏、冬などは気温や湿度が大きく変化しやすいのでエアコンなどで調節が必要です。
人が快適にすごせる気温と湿度でいいのですが、急な変化には弱いので気をつけましょう。

2.主なうさぎの食事(エサ)

うさぎは草食動物です。

盲腸が大きく、そこが発酵タンクになっています。
発酵がうまくいかないと体調を壊してしまいます。

ラビットフード(ペレット)、牧草、野菜が基本食(エサ)です。

ラビットフードは1日2回にわけて与えることが多いようです。

成長期の子うさぎは体重の3〜5%、大人のうさぎは体重の1〜2%といわれていますが、
ネザーランドドワーフのような小さな個体には大人でも体重の5%くらい与えたほうがいい子もいます。
体重をチェックしながら個々に量を調節する必要があります。

牧草は自由採食が多いようです。
イネ科のチモシーが多く与えられています。

野菜も腸内環境を整えるのに与えたほうがいいと思います。

うさぎはカルシウムを尿に多く排泄します。
カルシウム含有の少ない野菜を与えるようにしましょう。
生野菜を与えると下痢をする子もいます。そのような子は与えないようにしましょう。

おやつとしてクッキー類、ドライフルーツなどがありますが、
主食のラビットフードや牧草や野菜に少し足す程度にしましょう。

お水は新鮮なものを毎日交換して与えましょう。

3.うさぎの糞

丸い普通便と盲腸便をします。

丸い普通便はいつもする糞で乾燥したころころとしたものです。
盲腸便はぶどうの房のようなてかてかしたやわらかい糞です。
盲腸便は食糞されビタミンや栄養を摂取します。

糞の観察は健康のバロメーターとして大切です。

食欲がなくなると糞が小さくなったり数が減ります。
消化がうまくいっていないときは下痢をすることもあります。

草食動物は腸が発酵タンクのようになっており
一度腸内環境が崩れると整うのに時間がかかり、
ひどい時は命を落としてしまうことがあります。

そのため、糞の異常は早期に治療が必要です。

大人のうさぎは原虫のジアルジア、トリコモナスの感染による下痢が多いです。
抗原虫薬で治療していきます。

子うさぎは原虫のコクシジウムによる下痢、細菌性下痢の原因が多いです。
原因がわかっても衰弱が進んでいて治療しても亡くなってしまう子がいます。
とくに子うさぎの下痢は要注意です。

食べ物によって糞の状態は左右されます。

うさぎの盲腸の容積は胃の10倍くらいあり、そのなかで発酵作業がおこなわれます。
盲腸内の良いバクテリアが分解、発酵をしています。

牧場にあるサイロのようなものです。

牧場のサイロでサイレージづくりをしたことがある方はわかると思いますが、
良い発酵が行われているときは甘いスモモのようないいにおいがします。
しかし、カビなど悪いものが増えすぎると不快なにおいがしてきます。

うさぎの盲腸は牧場にあるサイロのようなもので、
良い発酵にはよいバクテイリアの存在が必要です。

そのためには新鮮な良質の牧草が必要でストレスのない腸の蠕動運動が大切なのです。

糞のにおいもチェックが必要です。 良い発酵がされているときは不快なにおいはしません。

4.うさぎの尿

うさぎの尿は他のホ乳類と比較して特殊な面があります。

うさぎはカルシウム排泄を尿から行う割合が高く、ホ乳類一般が2%以下なのに対して、
45〜60%にもなります。

そのため、健康尿にも尿結晶がみられ、にごった尿をします。

カルシウム代謝が特殊でその発生要因はまだ解明されていませんが、カルシウム分の多い野菜の多給は避けたほうがいいでしょう。

牧草も大人のうさぎにはカルシウムが制限されたイネ科のチモシー主体がいいでしょう。

尿の色は野菜の色素によっていろいろ変わります。
血尿と言われてくる子も潜血反応がみられず、野菜の色素尿のことも多いです。

摘出したうさぎの膀胱結石

膀胱結石と腎結石(うさぎのレントゲン写真)

しかし、

  • 尿の出が悪い、
  • 尿を頻繁にする、
  • 色が赤いとかオレンジ


の場合は膀胱に結石ができていることもあります。
それによって膀胱炎を起こしていることもあります。

動物病院ではレントゲン検査をして確認していきます。
膀胱だけでなく、腎臓にも結石ができているうさぎもいます。
うさぎに多いカルシウム系の結石はレントゲン検査ではっきりわかります。

おしっこが出てない、力んでても尿がでてない時は結石が尿道入り口で詰まっている可能性があります。
その時は緊急手術をして摘出していきます。

避妊をしていな雌の場合、尿に点々と赤い出血班がシートにみられるとか、
潜血尿をダッとしたなどの症状は卵巣・子宮疾患の場合があります。

3歳以上になるとリスクが増し、年齢とともに増加します。
繁殖をしない個体は避妊手術をお勧めします。

いつもと尿が変だなというときは早めの診察をお願いいたします。

5.うさぎの日常ケアー

ケアーとは日常ケアーのことです。
人で言うと歯みがきやお風呂に入ったりすることをうさぎに対してしてあげることです。

常生歯なので歯みがきはないのですが、ケアーとして
ひとつは爪切りです。
ふたつめはグルーミングです。

ラビットケージで飼われているためどうしても爪は伸びてきます。
1カ月に1回くらいの爪切りが理想です。

爪切りは嫌がる子が多いです。
自宅でできるのなら気づいたときに切ってあげられるのでトライしてみてもいいのですが、
無理をすると怪我をしてしまうことがあるので専門家に頼んでもいいと思います。
私の病院でも少なくとも1日1頭は爪切りに来ます。
同時に健康診断をして健康チェックもしています。
爪が伸びていてもほっとくのだけはやめましょう。
爪が折れたり、ストレスをためる原因となります。

グルーミングは毛がながい子には必須のケアーです。
毛が絡まってフェルト状態になってしまいます。
おしりまわりにからまると糞ができなくなったりして具合が悪くなることもあります。
自宅でラビットブラシやグルーミングスプレーを使用して毛の手入れをしましょう。
換毛期など毛抜けの多い時期、
毛玉になってしまった被毛などは専門家のグルーミングをお勧めします。

うさぎ自身でもなめてグルーミングをしますが、
基本うさぎは吐かない動物なので、なめた毛は糞にでてきます。
うまく排泄するように蠕動運動がしっかりしていればいいのですが、
毛球症といって胃にフェルトのように固まってたまってしまうことがあります。

猫のように毛玉を吐くことが基本できないので病気になってしまうことがあります。
抜け毛の多い換毛期には多くの毛をなめてしまい胃にたまりやすくなります。
そういう時期には特に、こまめにグルーミングをするとか
毛をスムースに排泄するために調合したフードやサプリメントを与えることが大切です。

毛に汚れが多くついたときや足が不自由で尿が体についてしまう子など以外は
基本うさぎはお風呂には入れません。